
アトランタ・オリンピックの真最中1996年7月19日から、私はジャマイカのキングストンにCM録音のためにいた。20日に空港に近いレスランで食事をしていたらブラジル人が大勢いて、明日の試合は絶対にブラジルが勝つから見ていろ、と上機嫌だった。しかし21日の試合で軌跡が起ったのである。あの、マイアミの軌跡だ。翌日同じレストランに行ったら連中がいて、意気消沈ガクっとしているので、ラム酒をご馳走してあげた。それはさておき、その頃フージーズが大ブレーク中で、リミックス・エンジニアのハンゼル・タッカーのスタジオにオーバーヒートの石井さんに連れられて行った。その時に丁度ローリン・ヒルのあの[Killing Me Softly]のリミックスをやっていたのでした。とにかく延々と続くそのモニターの音量のバカデカさに、我々が普段やっているものとは全く違うことを知らされた。ヤマハ10Mもデカク聴くので破けちゃうからラッカーでスピーカーを塗りつぶし固めてある。そのフージーズの中心メンバーだったWyclefの10年振りのアルバムを聴くと胸が熱くなり、賞賛の言葉がなかなか見つからない。音楽でこんなに自由になれるって素晴しいことだと思う。吉江一男