今週日曜に放送された番組はとてもおもしろかった。「題名〜」
http://www.tv-asahi.co.jp/daimei/はクラシックを中心に構成され1964年の開始から45年も続く長寿番組である。そしてスポンサーがその間出光興産の一社提供であることは特筆に値する。また1964年は第18回東京オリンピックが開催された年でもあり、日本が高度成長に向かってエネルギッシュに動き始めていた頃だ。そんな元気な時代にこの番組は若き作曲家黛敏郎氏の司会で「ゴールデン・ポップス・コンサート」のタイトルで始まった。黛さんは作曲家としての才能はもちろん、背が高く日本人離れした顔立ちで、洗練された話し方と身のこなし方が外人ポクてカッコ良かった。同じ頃、日本フィルを創設し初代指揮として活躍した渡辺暁雄さんもカッコ良かった。中学生の私は毎週土曜日の夕方にフジテレビの公開番組「日本フィル・アワー(?)」の収録で東京文化会館に行くのが習慣だった。話しを「題名」に戻そう。去年からパーソナリティーが佐渡裕さんに変わったのでオーケストラを鳴らすのはお手の物だ。今回の特番のメイン曲は黛さんの「響宴」で、数々のエピソードを交えながら話しが進んで行く。その中で、1961年にバーンスタインとニューヨークフィルが初来日し、この曲を同行していた若干25才の副指揮者小沢征爾が振ったことを小沢さん自身が語っていた。黛さんは当然バーンスタインが振るものと思っていたでしょうから、さぞかしがっかりしたのでは、、、、と。そんなエピソードが披露された後、いよいよ佐渡さん指揮による演奏が始まった。この曲は長唄やガムランなど東洋の伝統音楽を随所に取り入れ、それに現代音楽やジャズ的要素をミックスさせ、前衛的でエキゾティックで、高度な演奏技術を必要とします。佐渡さんはエネルギッシュな指揮で見事に現代に蘇らせ、黛ワールドを堪能させてくれました。日本には素晴しい音楽がいっぱいあります。クラシック音楽に対して西洋の呪縛から逃れることの難しい日本人にとって、今回の番組は日本人らしさを見つめ直す良い機会だと思いました。番組制作の皆様ありがとうございました。