2006/09/21

Friends Of Love The Earth Projectに参加して。


このプロジェクトは去年の愛知万博ファイナル・コンサートにおいて、ユーミンがアジアのアーティスト達とコラボした際のユニット,
松任谷由実With Friends of Love The Earthから続くもので、去年はユーミンを含む5人でスタートし、テーマ曲『Smile again』が誕生しNHK紅白にも出場しました。今年は出演者も13組に増え、万博閉幕一週年を記念して9/17に名古屋でコンサートが行なわれました。そのコンサートの為に発表する新曲を作るにあたり、CM制作畑の私にプロデュース依頼の連絡が入ったのは5月の中旬でした。プロジェクトの主旨は、国籍や世代、キャリアを越え、ユーミンを中心にしてアジアの音楽家達がコラボレーションをしながらメッセージを発信して行くもので、参加者はそれぞれの母国語で歌います。そこで私は、限られたサイズの中で多くの言葉が入れられるラップ・コラボレーションを作ることを考えました。韓国からは、2年前に坂本龍一のアルバムに参加したことのあるMC SNIPERがOKの返事、日本からは11月にデビューをする京都出身のピッカピカの新人グループ、FAR EAST RHYMERSが、チベットからは雪蓮三姉妹がコラースを担当してくれることになったのでした。そしてサビはもちろんユーミンに歌ってもらいます。若いラッパー達がストレートに平和への願いをラップして、サビはユーミンがキュンとくる歌詞をメロディーに乗せるわけです。こんなパズルのような曲を作曲しトラックを作ってくれたのは、アメリカから参加したEAGER LUSH君とプロデューサーのKEN YOSHIEです。そして出来上がった曲が「Knockin' At The Door」です。日本から韓国、チベット、そして世界へと、まさに今年のプロジェクト・スローガンであるACROSS THE BORDERです。コンサートに来れなかったできるだけ大勢の人達にこの音楽を聴いてもらい、2010年まで続く日本発地球大交流プロジェクトを応援してください。i-Tunesより発売中。11/1にはARTIMAGE RECORDSよりCD(XNAR 30004)が発売されます。Producer, Kaz Yoshie
追記、この曲以外に2つの新曲が発表され、全てが配信されていることも付け加えておきます。

2006/09/04

サイモン・ラトルは凄い!!


〜ザルツブルグ音楽祭でベルリン・フィルを聴いて〜
今日は久し振りの投稿です。
私は8/19〜30までの間にヴェローナ野外劇場、メラーノ音楽祭、そしてザルツブルグ音楽祭とクラシック三昧の日々を送って来ました。今年はモーツアルト生誕250周年にあたるので、ザルツブルグが主の目的であったのは言うまでもありません。7月23日からスタートして8/30までの間、日に依っては朝11時、午後3時、夜と3公演があり、毎日モーツアルトが演奏されています。私も駆け足でレクイエム、イドメネオ、ドン・ジョバンニ、シンフォニ−#39#40#41等を聴いてモーツアルトを十分に堪能したわけですが、8/29と30日の2公演だけの為に来ていたラトル&ベルリン・フィルの29日公演に行ってびっくり仰天です。それはドビッシーのDrei Preludesを除いて、全曲21世紀に作られた現代音楽のプログラムで、世界中のいい感じのモーツアルト・ファンが集っているこの場で大胆不敵というかお見事です。曲目は相当なマニュアでも知らないのは当たり前で、せいぜい作曲家名は知っていても聴いた事のない曲ばかりでしょう、少なくても日本では。そんな新曲を70才になろう紳士淑女が眼を輝かせて楽しんでいるではありませんか。16型4管編成の大オーケストラの演奏が始まると、それは正にへんてこりんな現代音楽なのですが、私が今までに聴いた数少ない現代音楽コンサートの中で最も美しく、こんなに感動したことはありませんでした。変則極まりない拍子、奏法に拘らず全員がピッタリ合ちゃっていて魔法のようでした。最後にドビッシーを持って来るところはラトルの真骨頂で、100年前に書かれた曲のなんとみずみずしいこと。全てが現代に繋がっていることを分からせてくれました。こんなコンサートが実現できるのは、演奏家の音楽への真摯な態度、プロとしての確か過ぎる技術は勿論ですが、やはりラトルが偉くなっていないことと、新しい才能を発掘し文化の継承を大事に考えているからでしょう。ベルリン・フィルの芸術監督の地位なんて簡単なことではないので、偉くなっちゃっても仕方ないのに。私なんかそこにたまたまいただけで偉くなっちゃいますから。最後にプログラムを書いておきます。吉江一男
Kaija Saariaho[*1952] Asteroid 4179:Toutatis (2005) for Orchestra
Brett Dean[*1961] Neues Werk (2006)
Matthias Pintscher[*1971] Towards Osiris (2006) Orchesterskizzen
Mark-Anthony Turnage[*1960] Ceres(2006)
Henri Dutilleux[*1916] Correspondances(2003) for Soprano & Orchestra
Hanspeter Kyburz[*1960] Noesis(2001/03)
Claude Debussy[1862-1918] Drei Preludes in der Orchesterfassung von Colin Matthews