2006/12/19

サイモン・ラトル&ベルリン・フィルがサントラに参加

モーツアルトが生まれた1750年代のパリは汚く悪臭が立ち込めていました。中でも魚市場は世界で最も汚らしい場所で、そこで生まれた天才香水調合士の話が来年3/3に封切られる映画「PERFUMU」です。この映画はスコセッシやスピルバーグ等が20年間に渡りオファーをしても実現できなかったイワクツキのものです。ドイツ人のトム・ティクバ監督は音楽をサイモン・ラトル&ベルリン・フィルに依頼しました。バロックの時代設定に現代音楽が流れます。ラトルの音楽と共に、悪臭と世界で最も美しい香水の匂いを感じながらストリーは展開して行きます。乞うご期待、、、吉江一男

今年のCM音楽

現在放送されているCMの音楽は既成曲またはタイアップ曲が50%以上を占めています。95年位までは10%にも満たないくらいで、制作の現場ではエネルギーの殆どがオリジナル曲を制作するために費やされていました。がしかし、諸処の事情で使用料フリーのタイアップが平然と行なわれ、既成曲を安易にプレゼンに使い始めてから、この10年で我々の食い扶持である制作受注は半減した訳です。今年も去年に比較してオリジナル制作は減っています。タイアップは双方のメリットで行なわれているので口は挟みません。しかしプレゼン時のレコ選は真剣に考え直す時期に来ているのではないでしょうか。それによる諸処のトラブルが発生しています。でもそうなったのは我々音楽制作者の責任が大きいのです。バックアップ・イメージの確認の為に既成曲を出すのは一番簡単で、短時間で確認できるやり方ですが、プロの制作者として自分の言葉でサウンド・イメージを話せるかが問題なのです。要するに知識を持っていない人間があまりに業界に増え過ぎてしまい、クライアントからの信頼を失ったことの結果であるように思います。音楽制作者の皆様、もっともっと切磋琢磨して高いレベルの技術を身に付けましょう。私も頑張ります。吉江一男

2006/12/18

Daniel Hardingの革新

「のだめカンタービレ」のヒットとその影響でクラシックの裾野が広がったのは良かったことだと思う。主人公野田恵の音楽に向き合う革新的なところが共感を呼び、クラシックをただの古い年寄りの聴くものと敬遠してきた若年層に支持されたのでしょう。クラシックに比べて歴史の浅いポップスの進化は分かり易く、時代時代で大衆に支持されて来ました。しかし最近のポップスはどれもが画一的なのと、商業主義があまりにも見え過ぎな気がします。それに比較して、サイモン・ラトル以後のクラシック界はとてもチャレンジャブルで、音楽の可能性を広げているように思います。クラシックの場合はどの音楽家も同じ譜面を演奏する訳ですが、ラトルやアーノンクールがピリオド奏法を提唱してから、クラシックは全く変わってしまったのです。今秋催されたNHK音楽祭に出演してモーツアルトを振ったDaniel Hardingもピリオド奏法を実行する一人です。若干30才にして既に世界の代表的指揮者の仲間入りをした彼の音楽は全く別もので、今までのクラシックでは使われなかった言語である”グルーブ”が存在します。弦楽器はビブラートをつけないで演奏するので表情を出すのには右手のボーイングが要になり、言ってみればごまかしが効きません。縦の揃い方も一糸乱れず合うことを要求されます。これらは今のデジタル時代に合った考え方のようですが、実はピリオド奏法というのは、例えばモーツアルトの生きていた時代に立ち戻って、その時代はこうであったのではないかとの解釈から生まれているものです。ということは200年前の表現方法をバーチャルに再現したものが新鮮に聴こえているのでしょうか? とにかく私はこの奏法に触れてから、再び好奇心が再燃し始めました。特にハーディングに。吉江一男

2006/12/03

フィギュア・スケートの選曲

フィギュア・スケートNHK杯は浅田真央、村主章枝、中野由加里が予想通り1、2、3位を独占し終了しました。競技はもちろん興奮しますが、最終日のエキシビションは演技者がみなリラックスしていて楽しいですね。そこで選曲なのですが、荒川静香で「誰も寝てはならぬ」が国民的に有名になったことはまだ記憶に新しいですが、今夜織田信成くんはフランク・シナトラの「Fly Me To The Moon」で滑りました。この曲は世界中で多くのアーティスト達によってカバーされている名曲です。もともとは3拍子のワルツですが、カバーは殆どが4拍子で、ロック、ジャズ、ボサノバなど多岐にわたります。そんな中でこのシナトラ・バージョンはカウント・ベイシー・オーケストラをバックにしてアレンジはクインシー・ジョーンズです。こんなゴージャスで色っぽいジャズ・クラシックをバックに滑った織田くんはとても可愛く素敵でした。シナトラ・ソサエティー会員・吉江一男

山口東洋彦の「ベストCM100」CDジャケット・デザイン

11/29東芝EMIより発売された「ベストCM100」は日本のCMソングの第一号である”僕はアマチュア・カメラマン”から現在のヒットCMソングまでを、メドレーにして9バージョン収録し、それに”男と女のラブゲーム”などのメガ・ヒットからマニアックなフルサイズものを加えた2枚組のCDです。100曲のどれもがCMのために作られたオリジナルでタイアップ・ソングではありません。このCDをプロデュースするにあたり、中身はアゲアゲ!極彩色なので、それと全く相反するビジュアルでジャケットを作ろうと考えました。それも音楽や、CM業界意外の人間で独特のアイオニーが出せればと。そこで山口東洋彦という建築家にお願いしたのです。彼は日本で数年間修行した後、難関ミラノ工科大学建築科に留学、卒業後はローマにある今最も熱いマッシミリアン・フクサス建築事務所に勤務し、今春話題をさらったミラノ・コンベンションセンターhttp://www.arcoweb.com.br/tecnologia/tecnologia70.aspなどの設計に携わりました。建築家には一見気難しそうなイメージがありますが、初めて山口氏とこのようなコラボレーションをしてみて、建築家って何でも屋なんだってことが分かりました。吉江一男