2009/02/16

エルサレム賞を受賞した村上春樹


63年に始まったエルサレム賞は隔年で、個人の自由や社会、政治を題材にした作品を発表した作家に贈られる。過去の受賞者には英国の哲学者バートランド・ラッセルや、メキシコの詩人オクタビオ・パスらノーベル文学賞受賞者が名を連ねている。授賞式に出席した村上さんは英語で演説し、ガザ攻撃について「1000人以上が死亡し、その多くは非武装の子供やお年寄りだった」と言及し、事実上イスラエル軍の過剰攻撃を批判。日本国内で受賞拒否を求める声が挙がったと説明するとともに、「私は沈黙するのではなく(現地に来て)話すことを選んだ」と述べた。立派な態度だと思う。どこかのリーダーのように言質をとられるのを恐れて黙っているのとは対照的だ。和田誠さんとの共著「ポートレート・イン・ジャズ」を久し振りに読んでみたくなった。

2009/02/12

ハイティンク&シカゴ交響楽団


先週4日にサントリーホールであったコンサートに行った。小学生の頃NHKの「シカゴ交響楽団アワー」をいつも見ていたのでこのオーケストラには特別の思いがある。演目はモーツアルト「ジュピター」とR・シュトラウス「英雄の生涯」で、円熟のオランダ人指揮者ハイティンクとシカゴの演奏はニュートラルで軽やかだった。深刻にならないのはコンサート・マスターをはじめ弦楽器に東洋人が多いことにも起因しているかも知れないが、オランダ人の音楽は総じて明るくニュートラルなところが私は大好きだ。

2009/02/09

日本自転車振興会・ケイリン


前回に引き続きリアリティーのあるインパクトの強い新作が流れ始めました。制作スタッフは前回と同様、企画タグボート、演出前田良輔、音楽は中川俊郎です。1月5日昼間に中川はピアノ・ソロだけを録り、そのままロスアンゼルスへ出発したので、最終的にフィニッシュ・ワークは弊社ハウス・アーティスト佐藤彰信がやりました。中川の個性的なピアノ・ソロに後からドラムス、ギター、ベースをかぶせるのはちょっと難しい作業になりますが、佐藤は一人で全ての演奏をこなし難題を見事にクリアーしました。演出の前田さんも一発OKだったそうです。できたてのオリジナル音源はこちらで聴けます。http://www.mr-music.co.jp/top.html

2009/02/05

泣けるCMを作ったクリエーターの本


「クリスマス・エキスプレスの頃」三浦武彦x早川和良という本が2月9日に日経BP出版センターから発売される。この二人は”泣けるCM”を作ったクリエーターだ。80年代後半に放送されたJR東海のエキスプレスシリーズを覚えている人は多いだろう。私もハックルベリー・エクスプレスに参加させて頂き、そこから中川俊郎の名曲が誕生した。この本にはDVDが付いていて泣けるCMの真髄が見られる。大型書店でお求め下さい。

2009/02/03

『題名のない音楽会』 45周年番組

今週日曜に放送された番組はとてもおもしろかった。「題名〜」http://www.tv-asahi.co.jp/daimei/はクラシックを中心に構成され1964年の開始から45年も続く長寿番組である。そしてスポンサーがその間出光興産の一社提供であることは特筆に値する。また1964年は第18回東京オリンピックが開催された年でもあり、日本が高度成長に向かってエネルギッシュに動き始めていた頃だ。そんな元気な時代にこの番組は若き作曲家黛敏郎氏の司会で「ゴールデン・ポップス・コンサート」のタイトルで始まった。黛さんは作曲家としての才能はもちろん、背が高く日本人離れした顔立ちで、洗練された話し方と身のこなし方が外人ポクてカッコ良かった。同じ頃、日本フィルを創設し初代指揮として活躍した渡辺暁雄さんもカッコ良かった。中学生の私は毎週土曜日の夕方にフジテレビの公開番組「日本フィル・アワー(?)」の収録で東京文化会館に行くのが習慣だった。話しを「題名」に戻そう。去年からパーソナリティーが佐渡裕さんに変わったのでオーケストラを鳴らすのはお手の物だ。今回の特番のメイン曲は黛さんの「響宴」で、数々のエピソードを交えながら話しが進んで行く。その中で、1961年にバーンスタインとニューヨークフィルが初来日し、この曲を同行していた若干25才の副指揮者小沢征爾が振ったことを小沢さん自身が語っていた。黛さんは当然バーンスタインが振るものと思っていたでしょうから、さぞかしがっかりしたのでは、、、、と。そんなエピソードが披露された後、いよいよ佐渡さん指揮による演奏が始まった。この曲は長唄やガムランなど東洋の伝統音楽を随所に取り入れ、それに現代音楽やジャズ的要素をミックスさせ、前衛的でエキゾティックで、高度な演奏技術を必要とします。佐渡さんはエネルギッシュな指揮で見事に現代に蘇らせ、黛ワールドを堪能させてくれました。日本には素晴しい音楽がいっぱいあります。クラシック音楽に対して西洋の呪縛から逃れることの難しい日本人にとって、今回の番組は日本人らしさを見つめ直す良い機会だと思いました。番組制作の皆様ありがとうございました。